なぜ営業目標は失敗するのか?BtoB営業で成果を出す逆算型マネジメントとは

営業現場で成果が伸び悩む背景には、現実離れした数値目標が原因となっているケースが少なくありません。
「とにかく売上を上げろ」「前年比の倍を狙え」といった目標が一方的に下りてくるだけでは、現場は疲弊し、やる気を失ってしまいます。
本記事では、現場の温度感を無視した目標設定がどのように組織に悪影響を与えるかを整理し、数字に裏付けされた逆算型の目標設計によって、現実的かつやる気を引き出す営業運営に変えていく方法をご紹介します。

執筆者略歴

株式会社エグゼクティブ 代表取締役 内山 隆
大学卒業後、東証向けソフトウェア開発を行う東京証券取引所関連のIT企業に入社。収益の柱である東証からの売上とは別に、2本目の大きな収益の柱を作るべく、販路が全くない状態で新規開拓営業を開始。パンフレット1枚を武器に、一部上場企業など未取引の企業から億単位の受注を獲得する。
約4年間で新たな収益の柱を築いた後、2002年1月、住まいのアパートの台所を本社として、 BtoB提案型商材専門の営業アウトソーシング会社「株式会社エグゼクティブ」を設立。
「俺たちを雇ってくれないか?」というキャッチコピーでゼロから市場を開拓。 創業以来、20年以上にわたり約6,000社と商談を重ね、IT、販促、人材開発、コンサルティング商材で、1,000社を超える企業から営業活動を受託。
営業アウトソーシングが一般的な業界用語になるまで市場を成長させた。依然としてBtoB提案型商材の営業難易度は高く、また近年の人手不足により営業人材の確保が難しい状況において、営業活動の「特効薬」となるべく、第一線で商談を行い続けている。

無理な目標がもたらす3つの弊害

1. 担当者のモチベーションを削ぐ

「達成不可能な目標」が与えられたとたん、営業担当者は自信を失い、目標に取り組む意欲も低下します。頑張っても無駄という心理が働き、チャレンジ精神さえも萎んでしまうのです。

2. 営業活動の形骸化

結果だけを追いすぎると、「とりあえず数字を埋めること」が目的化され、本来必要なヒアリングや関係構築といった本質的な営業行動が軽視される恐れがあります。

3. 離職率の上昇

数字のプレッシャーに耐え切れず、現場が疲弊してしまうと、優秀な人材ほど組織から離れていきます。目標が現実に即していなければ、定着率の低下という深刻な問題にもつながります。

現場が納得できる「逆算型」の目標設計術

では、どうすれば営業担当者が納得し、前向きに取り組める目標を立てられるのでしょうか。
その鍵は「逆算思考」にあります。売上目標から逆算し、必要なアクションを段階的に設計していくことで、実現可能なアクションプランが見えてきます。

▼ 例:月間売上1000万円の目標を逆算する手順 ▼

売上目標:月間で1000万円を達成する
 ● 1社あたりの平均受注額:100万円と想定 → 必要な受注件数は10件
 ● 商談成功率:10%と仮定 → 10件の受注には100件の商談が必要
 ● アポ獲得率:10%と仮定 → 100件の商談には1000件の営業アプローチが必要
 ● 1社あたりの平均接触回数:2回の電話を想定 → 1000社 × 2コール = 2000コールが必要
 ● 月間の営業日数:20営業日とすると → 1日あたり100コールが必要

このように売上から逆算して、1日の具体的な行動量にまで分解することで、「無理じゃない」「やれるかも」と現場が納得できる目標が生まれます。

分業と役割明確化で効率アップ

また、このような行動目標は一人ですべて担う必要はありません。
営業活動を以下のように分業することで、負荷を分散しつつ、各フェーズの専門性を活かすことが可能です。

 ● インサイドセールス(アポ取得担当):1カ月で1000社へ電話、アポを取得
 ● フィールドセールス(商談担当):アポ案件を商談化し、10件の受注を目指す

分業体制を築くことで、「電話が苦手」「商談が得意」といった個々の得意分野を活かせる組織運営が可能になります。

「チャレンジ目標」と「現実目標」を分ける

目標設定において、すべてを“達成すべきライン”にしてしまうのは危険です。目指す方向性を持たせつつも、下記のように目標を整理しましょう。

▼ 現実目標(コミット目標)▼

 ● 「必ず達成すべき最低ライン」の目標
 ● 現場の実態やリソースに基づいた、実現可能性の高い数値
   例:月間10件の受注、1日100コールなど

▼ チャレンジ目標 ▼

 ● より高い成果や成長を目指す「挑戦的な目標」
 ● 達成できなくても減点されないが、達成すれば評価や報酬に反映される
   例:月間15件の受注、1日150コールなど

このように目標の性質を明確に区分すれば、「失敗しても評価を失わない」「成功すれば加点」といった前向きな心理状態が維持できます。

まとめ:目標管理は現場への敬意から始まる

営業目標とは、単に売上数字を並べることではありません。
現場が納得し、動ける具体的なプロセスにまで落とし込むことで、初めて目標は「機能するツール」になります。
特に無理な目標がまかり通る組織では、成果も人もついてきません。逆に、「売上から逆算したプロセス設計」「行動に分解した目標」「分業による負荷分散」といった、現場目線のマネジメントを行うことで、営業チーム全体のパフォーマンスとモチベーションは確実に高まります。無理な目標に頼らない、実現可能な戦略設計こそが、BtoB営業の組織づくりの本質です。

〈当社の特徴〉
1.アポイント獲得や商談実施への成果報酬型の料金体系
2.60%が1年以上契約する常連クライアント
3.メンバーの半数以上が5年以上の在籍、最長は20年。全員正社員。
4.既存顧客へのアンケートでは「営業品質が高い」「社内教育が徹底されている」との評価

執筆者情報 <プロフィール>

株式会社エグゼクティブ 代表取締役 内山 隆
大学卒業後、東証向けソフトウェア開発を行う東京証券取引所関連のIT企業に入社。収益の柱である東証からの売上とは別に、2本目の大きな収益の柱を作るべく、販路が全くない状態で新規開拓営業を開始。パンフレット1枚を武器に、一部上場企業など未取引の企業から億単位の受注を獲得する。
約4年間で新たな収益の柱を築いた後、2002年1月、住まいのアパートの台所を本社として、 BtoB提案型商材専門の営業アウトソーシング会社「株式会社エグゼクティブ」を設立。
「俺たちを雇ってくれないか?」というキャッチコピーでゼロから市場を開拓。 創業以来、20年以上にわたり約6,000社と商談を重ね、IT、販促、人材開発、コンサルティング商材で、1,000社を超える企業から営業活動を受託。
営業アウトソーシングが一般的な業界用語になるまで市場を成長させた。依然としてBtoB提案型商材の営業難易度は高く、また近年の人手不足により営業人材の確保が難しい状況において、営業活動の「特効薬」となるべく、第一線で商談を行い続けている。


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